広辞苑占い(もどき)

早く寝なくてはならないのに、どうにも布団に入る気になれない。 こういうときはあれである。本棚の前で目をつむり、右手をてきとうに伸ばし、たまたま当たった背表紙を引き抜く。 目は閉じたまま、ページをパラパラてきとうにめくってこれだというところを…

綻び

長く、かつ慎重に推敲された長文がアプリに届くと、警戒してしまう。 自分ならば、相手を怒らせたときか、自分が怒ったときにしか、そんな長い文は書かないからだ。 今回は向こうが怒ってる。 そう思って、ひとつ前の自分の文を見直すと、かっこの中に書いた…

しかたない

父が「お母さん」と母を呼ぶ。 「お母さん」「なあに」「ここは、何階だ?2階だよな」「ちがうよ。マンションだもん」「マンション?!」「そうだよ」「〇〇さんたちはどこにいるんだ」「〇〇さんは退職したでしょ。年取ったから」「そうか。なにもわからな…

今日はこんな感じ

だいぶ前、とあるクライアントさんがきたけれど、うちで何もできることがなかった。それで率直にそうお話したらわかりましたと言われた。それだけだと申し訳ないので、なにか話そうと思って無理やりこんな話をした。 「〇〇はどうにもできないが、〇〇に関わ…

成仏シリーズ(5)往復ビンタ

高1の夏休みのことだ。 休みは家でごろごろしていた。そこへ昼ごはんのため父が帰宅してきて、逆鱗に触れてしまった。 部屋を出ようとすると呼び止められた。勉強が本分だ、しっかりしろ、というようなことを言われ、私も生意気だったので大声で言い返した。…

成仏シリーズ(4)稼いでから言え

高1の初めてのテストでは、戻ってくる答案すべてが、見たこともないひどい点数だった。得意科目だったはずの英語ですら、平均未満しか取れず、すっかり青ざめてしまった。 これはまずい。それまで、答案は全て親に見せていたけれど、悪いときでも相当いい成…

成仏シリーズ(3)オマエは口を出すな

中学生のときのことだ。夜10時すぎ、私は母と、テレビで映画を観ていた。「日本沈没」という古い映画で渡瀬恒彦が出ていたと思う。 クライマックスの頃、ガチャ、と鍵を開けて父が帰ってきた。大きな音をたててドアを閉め、部屋に入るなり、母を怒鳴りつけた…

成仏シリーズ(2)オマエそれでいいのか

私と妹は物心つく前にスイミングスクールに放り込まれた。私3才、妹1才である。 一番下の級では、生徒はピンク色の水泳帽をかぶることになっていた。小学生のお兄さんお姉さんはどんどん進級し帽子の色が変わっていく。が、私と妹は何年も、ピンクのままであ…

成仏シリーズ(1)成仏シリーズとは

子供のようになった父に毎日接していると、まったく毒気を抜かれてしまう。 妹は「おとーさんは、ほんとはこういう性格だったんだよ」と言う。妹は優しい。 でも、ほんとってなんだ?ほんとの性格でなかったのなら、昔の父とはなんだったのか? 昔の父につい…

休み

休みの日は、何もなさそうな駅で降りて、今まで入ったことのない喫茶店に入ってみよう…という話を読んで、そうするつもりだったのに、いつもの喫茶店に入ってしまった。 窓際の席から、まぶしいひなたを眺めている。 習慣が磁石のように私をひきつけて、はな…

「名著の話 僕とカフカのひきこもり」

「名著の話 僕とカフカのひきこもり」伊集院光 伊集院さんが「100分で名著」で出会った本から3冊選び、専門家と対談しています。まだカフカのとこしか読んでないけど、面白いです。 伊集院さんが自身の経験から実感できた読み、解釈について、専門家の方が応…

うちにはぬいぐるみはいない

どこそこの待合室に、〇〇キャラのおっきいぬいぐるみがいてな、かわいかったわ~。ガン見したわ。でも食いついてるの私だけでみんなスルー。かわいいのになぁ…と話していると突如 「まぁ、うちにはぬいぐるみはいないけどな」 と、シロクマ(cv:妹)が乱入…

虫けら

あるSF作品を読んだ。 戦争で人がたくさん死ぬ。主人公はあちこちで大勢の人の死にさらされながら、無感情に生きる。戦争を偶然生き延びてからも、運命に翻弄される自分を空から眺めるような感覚がぬけない。 人間は虫けらと同じだということが、真実描かれ…

諦め

認知症当事者のかたの闘病記(日記を編集したエッセイ)を、昨夜途中まで読んだ。 父が認知症だから、目に入って買ったのだけど、もんのすごく面白い。病気の種類に関係なく面白い。人が自分の変化に気づきどんなふうにもがくかが克明に記されている。うっか…

シャッターおろしてスルー

母が車の任意保険料をコンビニに払いに行った。保険料はかなりの金額で、万札で払う。母はこういうとき気が小さく、支払いだけでは申し訳ないと思うタイプ。必ず一緒に何か買うのだけど、今回は袋飴を買った。 しかしその日その店の店員さんは何故か、ブスー…

コロンボ的な

引き続きコロンボを順番に観ている。第2シーズンに突入したところだ。 謎解きはわかりやすい。実際の犯罪も、こういう小さな綻びから犯人が割れるんだろうなと思わせてくれる。 コロンボと犯人の心理戦が面白い。 思い詰めてる殺人犯は視野が狭くなっている…

コロンボ「死の方程式」

自粛期間中に買ってしまった刑事コロンボのディスク。このところ、順に視聴している。 シーズン1第8話「死の方程式」面白かった。なんだけど、検索してみたところ、謎解き部分は評価が高くないらしい。 でも、私は好きですね。犯人像が説得力があると思った…

さっきみた夢

父がどこかの職場に採用される。家族全員で転居する。 広い職場。 ところが実は、父は病気で仕事ができない。がらんと広い職場で丸椅子に座り、父のかわりを務める決意を固めていると、体格がよく高そうな服を着たおじさんがやって来る。慇懃無礼な笑みを浮…

つまる

友がみなわれより偉く見ゆる日よ…というこの頃。要するに自分の調子が悪い。 夜眠れなくて、眠いままむりやり仕事するから、終わったあと頑張った気がしちゃって、甘いものをパクパク食べる。自分でもびっくりするくらいすいすいお腹に入っていく。腹がくち…

夜の傘

だいぶ前に、夜遅く、雨がいっさい降っていないのに、大きい傘をさして歩いてる男の人を見たんですよ。雨がさっきまでぱらついてたわけではなく、周りの誰も傘をさしていないのに。夜だから紫外線関係ないし。 人に顔を見られたくないからか?て思ったけど、…

地層

光の死んだ夏という漫画がこわ面白かった。「ここはグリーンウッド」の作者に作風が似てる。恐怖シーンの人物の表情がエロこわい。性的体験のかわりに恐怖体験を持ってくる、という表現上の試みを感じる。 化け物に強烈に好きになられて、自分もまんざらでも…

2022/09/30

誕生日/いもうと 父が妹と私の誕生日が言えなかった。自分のと母のは覚えてた。妹に話したら「半年ほど前からちょっとあやしかったよ」と言う。 言葉 桐島洋子の認知症の記事で、桐島かれんが、「母は言語能力が高いから簡単なテストだとクリアしてしまって…

2022/08/08

父の具合だが、頭ははっきりしている。新聞も全部読む。父が好む複数の新聞を取ってるのだが、全部読む。でもそれ以外はやることないから、母が「退屈じゃないの?」と聞いたら、「今、色々考えているんだ」と言う。頭の中は忙しいと。室内に小物入れボック…

目に入らないことと記憶にうもれること

父がまた体調崩した。今回は前よりも重い。昨日、すわ、とばかりにまた介護用品を買いに走った。 でもないんだわ色んなものが。うちの近くのドラッグストア、口腔ケア用品、ないなー、吸い飲み、ないなー、てことで結局アマゾンに頼んでしまった。 で、今日…

夢をみた

こんな夢をみた。 今よりも、もっと、ずっとボケた父を連れて、二人でどこかから鈍行列車で自宅まで帰っている。車両のなかは空いている。車掌から、父が席を3つ使っているのを注意され、「空いてるのに」と口ごたえして喧嘩になる。私が列車を間違えている…

よかった…よくない

今日、スーパーの駐車場で車止めにけつまずいて、はでにすっ転んだんですよ…。擦りむいただけで大した怪我はなかったのですが、その時膝をこすりながら「私でよかった。親なら骨折してるところだ」て考えて、そのあとおいおいおいポリアンナ化が進みすぎてな…

おやすみなさい

夕飯食べて風呂入ってパジャマに着替えてもう布団に入ってる。まだ夜7時半前。風呂入んなきゃな〜と思いながらダラダラしていつのまにか寝落ちして、夜中に無理やり起きて風呂入って、再度寝ようとするけど寝付けない!という日々を繰り返していた。昼間むち…

書類たちに告ぐ

もうたまった書類を前に「終わんない…やる気がおきない…腰が痛い…」って言うの疲れたよ。いかに書類と格闘すべきか、いま一度本腰を入れて考えてみねばなるまいよ。てことで考えたよ。1 書く書類を「紙に」リストアップするよスマホでタスク管理すると「必ず…

ズッコケ時間漂流記

昨日ブログ書いてて思い出した、児童書の「ズッコケ時間漂流記」。少年三人組が主役のシリーズで、漂流記は過去にタイムトラベルするお話。Kindle電子書籍になってるとわかって、すぐに、ここここれは!とポチした。記憶に残ってる部分を開いて読み返してみ…

時をとめる

お茶を飲むということは時間をとめることだ、意図的に生活を停滞させることだから、と江國香織が「泣かない子供」で書いていたらしいです。ツイッターでみかけました。 本を読むことも時をとめると思う。長時間没頭することはなかなかできなくなったが、ほん…