モノマネは似すぎてはいけない

「センスの哲学」千葉雅也著をめちゃめちゃゆっくり読んでいる。 第一章に、センスのよさとはなにかを説明するために、絵画の話とインテリアの話が出てくる。 芸術は、写真に近づくことを目指していない。ゴッホもセザンヌも独自の線が横溢していて写真には…

「デッドライン」面白い

哲学者の書いた小説「オーバーヒート」に続いて「デッドライン」を読んでいる。すごく面白い。 めちゃくちゃ頭の良い学生のありふれた生活を描いているのだけど、主人公は、性指向を中心に、周囲に小さな違和をしょっちゅう感じている。 時折現れる、修士論…

SNSののどかなフィールド

けらえいこさんの、あたしンちのベスト版を読みおわり、続けてほかのも読みたくなって、けらさんの古いエッセイ「セキララ結婚生活」を電子で買って読んだ。 ちょー久しぶりに読んだけれど、やっぱり面白かった。エピソードに出てくるちょっとした女性のキャ…

無知と悪あがき

本を読んでいると、知らない人名とか横文字とか専門用語がポロポロ出てくる。ググってもすぐ忘れるので、スルーすることも多い。 「もう少しおとなになれば、こういう言葉を全部あやつれるようになるんだ…」と長らく思ってきたが、人生を折り返し、なんだか…

いかなる時でも読める本

不安な気持ちの時は、ミステリーを読むとよいらしい。現実離れした事件に没頭できるし、必ず最後に解決するのが精神によいという。 また、悩みが深いときは、外国語の本を読むとよいらしい。外国語を読むのに苦労する分、なかの世界に集中するので、適度に現…

窓ガラス大の空

雲のまん中に、四角い穴があいていて、青空が窓のように見えている…ネットでみかけた写真に、あ、と思っていいねを押した。 その時、頭の中を何かがかすめたので、動作を止め、注意深くふりかえる。雲の大群の中の青空を私は知っていた。 記憶のわたをそっと…

本の話がしたい

高校時代、妹の「月刊カドカワ」を借りて、パラパラと見るともなしに見るうちいつのまにかひきこまれた。真ん中あたりに載ってる短編小説だ。話の冒頭に戻り読み始める。 仕事をクビになった若い女性が、山手線に毎日乗って、網棚の上の忘れ物を盗んで生計を…

「本が好き」の謎

このところ本が読めていない。漫画なら、うっかり2、3冊くらい(もっとか)読んでしまうのに…。 にもかかわらず、自分の中には厳然と「私は本が好き」という感覚がある。なんだこれは。 ツイッターで誰かのおすすめ本ツイートに出会ったら、「うおっ」と言っ…

「名著の話 僕とカフカのひきこもり」

「名著の話 僕とカフカのひきこもり」伊集院光 伊集院さんが「100分で名著」で出会った本から3冊選び、専門家と対談しています。まだカフカのとこしか読んでないけど、面白いです。 伊集院さんが自身の経験から実感できた読み、解釈について、専門家の方が応…

虫けら

あるSF作品を読んだ。 戦争で人がたくさん死ぬ。主人公はあちこちで大勢の人の死にさらされながら、無感情に生きる。戦争を偶然生き延びてからも、運命に翻弄される自分を空から眺めるような感覚がぬけない。 人間は虫けらと同じだということが、真実描かれ…

諦め

認知症当事者のかたの闘病記(日記を編集したエッセイ)を、昨夜途中まで読んだ。 父が認知症だから、目に入って買ったのだけど、もんのすごく面白い。病気の種類に関係なく面白い。人が自分の変化に気づきどんなふうにもがくかが克明に記されている。うっか…

地層

光の死んだ夏という漫画がこわ面白かった。「ここはグリーンウッド」の作者に作風が似てる。恐怖シーンの人物の表情がエロこわい。性的体験のかわりに恐怖体験を持ってくる、という表現上の試みを感じる。 化け物に強烈に好きになられて、自分もまんざらでも…

ズッコケ時間漂流記

昨日ブログ書いてて思い出した、児童書の「ズッコケ時間漂流記」。少年三人組が主役のシリーズで、漂流記は過去にタイムトラベルするお話。Kindle電子書籍になってるとわかって、すぐに、ここここれは!とポチした。記憶に残ってる部分を開いて読み返してみ…

時をとめる

お茶を飲むということは時間をとめることだ、意図的に生活を停滞させることだから、と江國香織が「泣かない子供」で書いていたらしいです。ツイッターでみかけました。 本を読むことも時をとめると思う。長時間没頭することはなかなかできなくなったが、ほん…

未練への埋め合わせ

現代思想入門(千葉雅也)をものすごくゆっくり読んでいる。二項対立に、違う視点を持ち込んで、対立を脱構築するのが、現代思想の始まりらしい(理解できてるか確認したいので、引用でなく思い出し思い出し書いております)。脱構築すると、「どっちもどっ…

いったん破壊する

千葉雅也さんの「勉強の哲学」を読んでいる(新書の「現代思想入門」が途中で止まっていたが、「勉強の哲学の後に、現代思想入門を読むとよい」という話を見かけて、こっちに鞍替えした)。で、「勉強の哲学」のはじめの30%を読んだだけで、びっくりしている…

黒い本

「仕事なんか生きがいにするな」(泉谷閑示著)という新書を読んだ。とても面白かったので、今は二回目を読んでいる。「自分の人生になんの意味があるのか」という実存的な問いにつかまり、抑うつ的になる人が多いという。ハングリー精神で幸せをつかむ時代…

樹上のゆりかご

昔、紙で読んで手放した本を、たまに電子で買い直して読み直したりする。今回は、「樹上のゆりかご」という荻原規子の20年前の本を読んだ。児童書というか中高生向けの本だと思うけれど、とても面白かった。昔読んだときよりも面白く感じた。若い頃は純粋に…