黒い本

「仕事なんか生きがいにするな」(泉谷閑示著)という新書を読んだ。とても面白かったので、今は二回目を読んでいる。

「自分の人生になんの意味があるのか」という実存的な問いにつかまり抑うつ的になる人が多いという。

ハングリー精神で幸せをつかむ時代はバブルとともに過ぎ去った。もはや自分が頑張ることに意味を見いだせない…それわたしのことやんけ。(本の内容はまた語りたい。)

この本は、読んだあとに作中の引用元の本も読みたくなるという、ブックガイド的な効用も持っている。

フロム

がたくさん引用されていたが、わしゃー岡本太郎(大好き)しか読んどらん。だいたい哲学書はもう何百回挫折したかわからないのだ。

でも、フロムって人の本は、たしか持ってた気がするなーと思って探したら家になくて、職場の本棚に押し込んであった。「悪について」。

20代の頃、父親に「フロムはすごくいいぞ」と言われてページが茶色くなった古ーい本をもらったんだった。カバーがなくなってしまい、真っ黒な表紙がむき出しになっている。

ページが3箇所、三角に折ってある。奥付を見ると昭和40年代。てことは父は30代のときにこれを読んだのか…。

50代の父は20代の私とフロムの話をしたかったのだろうか。でもその頃の私はこんな本読みたくなかった。ずっと本棚の隅に放置して、家でも邪魔くさくなり、職場に持ってきてまた放置した。そして20年以上たつ。

私は父より10才遅く、この本に手を伸ばしたが、父はもうフロムについて語ることができない。多分「そんなの忘れたなぁ」って言う。

悲しいがしかたない。むしろ、本を捨ててなくてよかった。次の休みに全部でなくてもいいからページをめくってみようと思う。