即興の海

身体と頭を協同させて人生を深く味わうには日常で遊べ、ハレとケを分けるなと本(「仕事なんか生きがいにするな」泉谷閑示著)にあった…。

日常の遊びの方法は2つ。即興に身を委ねること、面倒くさいことをあえてやってみること。

即興の例…ググらないで心のままに出かける、レシピを見ないで食事を作る。

面倒くさいことの例…筆で書く、習わないで楽器を弾く。

で、素直に行き先を決めないで出かけてみた。ぐるぐる歩いた結果「よし電車だ」と決め、とある町へ出かけてみた。

その結果何を見たか?

ブルーグレーの拒絶的な海と、人のほとんどいない市街地である。

鉄筋コンクリート作りの綺麗な建物が並んで、ちゃんとメインストリートを作っていた。車の入らない、小さなお店の並んだ石畳の道もある。

でも人がいない。役者が入る前の撮影用のセットみたい。広場ですら、一組の親子がぽつんと座っているだけだった。ゴミが落ちてたり落書きがあったりするわけではない。荒れてないのに、ただただ人がいないので、人口の極端に減った穏やかな未来のようだった。

テトラポッドの先に深く迫る海は、色が深く、冷たく、全然人を寄せつけない。砂浜の海とは別人だった。

そんなんを見て歩き、思いっきり寂しくなって帰ってきた。家についてホッとしたが、まあ虚しい1日ではなかったかも。寂しさとゆーものを身体で味わったわけだから。

家で寝転がってるよりは、今日という日を味わったわな(当社比)。