日記

モノマネは似すぎてはいけない

「センスの哲学」千葉雅也著をめちゃめちゃゆっくり読んでいる。 第一章に、センスのよさとはなにかを説明するために、絵画の話とインテリアの話が出てくる。 芸術は、写真に近づくことを目指していない。ゴッホもセザンヌも独自の線が横溢していて写真には…

男装の麗人的書店員さん

朝ドラの主人公の同級生に、女性だけれど常に男もののスーツを着て、髪もピッタリなでつけ、まるで男装の麗人のような人物がいる。 主人公はこの人に「素敵、宝塚みたい!」と声をかけて怒鳴られる。彼女は明治時代、女性が虐げられていることに強い怒りを抱…

SNSののどかなフィールド

けらえいこさんの、あたしンちのベスト版を読みおわり、続けてほかのも読みたくなって、けらさんの古いエッセイ「セキララ結婚生活」を電子で買って読んだ。 ちょー久しぶりに読んだけれど、やっぱり面白かった。エピソードに出てくるちょっとした女性のキャ…

ローカルの人付き合いをサボりまくった結果

学生時代の同級生と久しぶりに話す機会があった。おもえば、高校時代は脊髄反射的な会話しかできなかった。こう言われたからこう言った、というただそれだけの会話だ。内容だって、なになにのテストがさー、とか誰それさんがさー、とか。その日の出来事と噂…

父のお買い物

「おかーさん、ちょっとちょっと」「なに」「これ。安くて、健康に良いそうだよ。買ったほうがいいよ」 ふとんの中から、新聞の広告欄を指し示す父。「あーそうやね。あとで頼んどくわ」 そう答えておいて、実際には注文しない母。でも父は満足する。すぐに…

しんどくはない…

私「介護で何が一番しんどい?」母「べつにしんどくない」私「私はおむつ替えしんどいよ?お母さんは、食事介助?おむつ替え?しょっちゅう呼ばれるのがしんどい?」母「どれも、しんどくはないんよ。ただ呼ばれたときに、『あ、めんどくさー』とは思う。あ…

筆ペン

コロナ禍のちょっと前に、とあるエッセイ(確か若松英輔さん)を読み、好きな言葉を抜書きすると良い、心にも良いし、文章の練習にもなる、的なことが書いてあるのをみつけて、へーと思った。 その後、コロナ禍に入り、生活の制限が厳しくなり、コーヒー屋も…

亀のような日々

どうしてそんなふうに受け取るの?どうしてそんなに意地になるの?どうしてわかってくれないの?て思うことはよくある。仕事でも。 学生の頃は「話せばわかる」という幻想を信じていた一方で、たとえば、激しく怒ってる人を納得させねばならぬとか、そんな場…

本屋の探索ルート

人と話していて、本屋に行ったとき、いつもどのあたりを見にいく?という話になった。ちょっと書いてみる。 まず単行本の新刊コーナーに行く。前は、新刊コーナーって見てなかったのだが、「Twitterで見かけて気になった新刊本が、ちゃんと地元書店にも入荷…

ある夜

--誰か!誰かある! --お呼びでございますか。 --おおそなたか。なに、大した用ではないのだが、これを見よ。 --これは……いつの時代の書きつけでございましょう。 --うむ。二十四年であろうか。他愛のないものであろうが、一応見てくれぬか。 --かしこまりま…

さらに続き

2024/01/31 2日ブログを書いたけれど、バックグラウンドで全然別のことも考えていた。 ある人がお金を出して一つのプロジェクトを始め、周りに仕事を請け負う人たちが集まったとする。(こう言いかえてもいい: ある人がお金を出して、あるものをつくり、まわ…

昨日の続き

昨日、原作を損なわない脚色、と簡単に書いてしまったが、厳密に言うと漫画も小説も映像に移そうとすると、必ずいくらかは損なわれてしまうものだと思う。だから、損なうかどうかが脚色の良し悪しではないのではないか(どんなに素晴らしい脚色だって、「原…

2024-01-29

「フィールド・オブ・ドリームズ」という古い映画がある。中学の頃にテレビで視聴して、すごくよかった。 同じ頃、どなたかのエッセイを読んでいて、フィールド・オブ・ドリームズについて「良い映画(原作のシューレス・ジョーがいいからね)」と軽く触れて…

バランスディスクにくし

ストレッチと筋トレのコンディショニングラボに定期的に通っている。そこのトレーニンググッズで、1番強烈なのが「バランスディスク」というもの。バランスボールを小型化、平らにした感じ。直径はフライパンぐらいで、ふっくらしたゴム製の円盤だ。 肩幅ほ…

2023年の漢字

12/31、23:30も過ぎ、そうとう押し迫った状態でこれを書いている。 今年の漢字は?と聞かれてすぐに思い浮かんだのが「会」という字だった。 素晴らしい師匠と出会い、30年ぶりに元同級生と会い、しばらく会えなかった友だちとオンラインやリアルで会ってた…

あてにならない

私が中学の時、女子生徒2人、女性の教育実習の先生2人の4人で話していた。 先生とはいっても大学生だ。話していてつい、学生のノリになったのだろう。眉のキリリとした先生がふいに言った。 「さっき、別のクラスの生徒が私の悪口を言ってるのが聞こえたの。…

いかなる時でも読める本

不安な気持ちの時は、ミステリーを読むとよいらしい。現実離れした事件に没頭できるし、必ず最後に解決するのが精神によいという。 また、悩みが深いときは、外国語の本を読むとよいらしい。外国語を読むのに苦労する分、なかの世界に集中するので、適度に現…

窓ガラス大の空

雲のまん中に、四角い穴があいていて、青空が窓のように見えている…ネットでみかけた写真に、あ、と思っていいねを押した。 その時、頭の中を何かがかすめたので、動作を止め、注意深くふりかえる。雲の大群の中の青空を私は知っていた。 記憶のわたをそっと…

「本が好き」の謎

このところ本が読めていない。漫画なら、うっかり2、3冊くらい(もっとか)読んでしまうのに…。 にもかかわらず、自分の中には厳然と「私は本が好き」という感覚がある。なんだこれは。 ツイッターで誰かのおすすめ本ツイートに出会ったら、「うおっ」と言っ…

広辞苑占い(もどき)

早く寝なくてはならないのに、どうにも布団に入る気になれない。 こういうときはあれである。本棚の前で目をつむり、右手をてきとうに伸ばし、たまたま当たった背表紙を引き抜く。 目は閉じたまま、ページをパラパラてきとうにめくってこれだというところを…

綻び

長く、かつ慎重に推敲された長文がアプリに届くと、警戒してしまう。 自分ならば、相手を怒らせたときか、自分が怒ったときにしか、そんな長い文は書かないからだ。 今回は向こうが怒ってる。 そう思って、ひとつ前の自分の文を見直すと、かっこの中に書いた…

しかたない

父が「お母さん」と母を呼ぶ。 「お母さん」「なあに」「ここは、何階だ?2階だよな」「ちがうよ。マンションだもん」「マンション?!」「そうだよ」「〇〇さんたちはどこにいるんだ」「〇〇さんは退職したでしょ。年取ったから」「そうか。なにもわからな…

今日はこんな感じ

だいぶ前、とあるクライアントさんがきたけれど、うちで何もできることがなかった。それで率直にそうお話したらわかりましたと言われた。それだけだと申し訳ないので、なにか話そうと思って無理やりこんな話をした。 「〇〇はどうにもできないが、〇〇に関わ…

成仏シリーズ(1)成仏シリーズとは

子供のようになった父に毎日接していると、まったく毒気を抜かれてしまう。 妹は「おとーさんは、ほんとはこういう性格だったんだよ」と言う。妹は優しい。 でも、ほんとってなんだ?ほんとの性格でなかったのなら、昔の父とはなんだったのか? 昔の父につい…

休み

休みの日は、何もなさそうな駅で降りて、今まで入ったことのない喫茶店に入ってみよう…という話を読んで、そうするつもりだったのに、いつもの喫茶店に入ってしまった。 窓際の席から、まぶしいひなたを眺めている。 習慣が磁石のように私をひきつけて、はな…

うちにはぬいぐるみはいない

どこそこの待合室に、〇〇キャラのおっきいぬいぐるみがいてな、かわいかったわ~。ガン見したわ。でも食いついてるの私だけでみんなスルー。かわいいのになぁ…と話していると突如 「まぁ、うちにはぬいぐるみはいないけどな」 と、シロクマ(cv:妹)が乱入…

虫けら

あるSF作品を読んだ。 戦争で人がたくさん死ぬ。主人公はあちこちで大勢の人の死にさらされながら、無感情に生きる。戦争を偶然生き延びてからも、運命に翻弄される自分を空から眺めるような感覚がぬけない。 人間は虫けらと同じだということが、真実描かれ…

シャッターおろしてスルー

母が車の任意保険料をコンビニに払いに行った。保険料はかなりの金額で、万札で払う。母はこういうとき気が小さく、支払いだけでは申し訳ないと思うタイプ。必ず一緒に何か買うのだけど、今回は袋飴を買った。 しかしその日その店の店員さんは何故か、ブスー…

コロンボ的な

引き続きコロンボを順番に観ている。第2シーズンに突入したところだ。 謎解きはわかりやすい。実際の犯罪も、こういう小さな綻びから犯人が割れるんだろうなと思わせてくれる。 コロンボと犯人の心理戦が面白い。 思い詰めてる殺人犯は視野が狭くなっている…

コロンボ「死の方程式」

自粛期間中に買ってしまった刑事コロンボのディスク。このところ、順に視聴している。 シーズン1第8話「死の方程式」面白かった。なんだけど、検索してみたところ、謎解き部分は評価が高くないらしい。 でも、私は好きですね。犯人像が説得力があると思った…