昨日の続き

昨日、原作を損なわない脚色、と簡単に書いてしまったが、厳密に言うと漫画も小説も映像に移そうとすると、必ずいくらかは損なわれてしまうものだと思う。だから、損なうかどうかが脚色の良し悪しではないのではないか(どんなに素晴らしい脚色だって、「原作を損なった」と怒るファンはいるだろう)。

では、いい脚色とそうでない脚色てどこがちがうんだろうか。


これだけは変えないでという原作者のラインを守り、その作品の「テーマ、世界観を忠実に伝えて」なお、「映像的にも面白いものにする」という難題にチャレンジするかどうかなのではないか。そして、その難題にチャレンジできるかどうかは、やっぱり脚本家が原作を愛してるかどうかにかかってるのではないか。

スティーブン・キングているじゃないですか。あの方の「霧」ていう小説を、フランク・ダラボンという監督さんが脚色したけれども結末は小説と違うのですってね。脚色してるとき、結末の改変を思いついた監督は、キング氏に電話し提案をし、話を聞いたキング氏は、
「俺がその結末を思いつきたかった!!」
と歯噛みしたのだそうだ。

すごいな。完成した映画「ミスト」の結末について、観客には賛否両論あるけど、キング氏は絶賛したらしい。ええ話やぁて思う。原作と脚色がしのぎを削ってるんだもの。