雲のまん中に、四角い穴があいていて、青空が窓のように見えている…ネットでみかけた写真に、あ、と思っていいねを押した。
その時、頭の中を何かがかすめたので、動作を止め、注意深くふりかえる。雲の大群の中の青空を私は知っていた。
記憶のわたをそっと引っ張り出し、ゆっくりほぐすと、細かいところが見えてくる。唸りながら断片をつなぎ合わせ、何度か検索したところ、「北風フーと青空スー」という童話がヒット。あースッキリした。
久しぶりに読んでみた。主役は北風のフーで、青空のスーはその友達。イラストは繊細なモノクロの線画で、鮮やかな青空は想像だとわかった。でも最後、スーのお父さんが迎えに来るところがすごいのだ。そのシーンも圧巻の色付きで記憶している。
デジャヴュの何割かは、昔読んだ本のせいで起きてるんじゃないかと思う。文字で読んだものが天然色の風景を産み、「知ってるもの」として記憶される。本好きな子どもの記憶の捏造は簡単なのではないか(真顔)。