つかいどころ

小さな会社立ち上げから、長く、ともに走ってくれていた従業員が退職を申し入れてきたという。退職理由は、「もっと自分の〇〇を活かしたいから」。

「何が気に入らなかったっていうの?一体私の何がいけなかったというの?あれとこれとそれを頼んだのがよくなかったの?」

…という嘆きを全然関係ないとこから眺めるにつけ、あ!これはアレだアレ…課題の分離だがや!…と思った。

そもそも、その人が何を思って会社の仕事に邁進してくれているのかは、その人でないとわからない。会社の理念に共感してくれているのかなんて、心の中までこちらは支配できない。

理念ややりがい以外にもいろんなことがその仕事をする理由になる。給料とかそこにいる人が好きとか、単に楽しいとか…。

それに、人は会社と関係ない理由で退職することがある。

したがって、退職したいと言われても、それはそういうこともあるだろう、くらいに受け止めるしかないのではないかと思った(会社に苦情があった場合は別)。

その人の転職はその人の人生の課題として片付けてよいかわり、こちらも会社の存在意義が否定されたような気持ちにならなくてよい、と思った。

…と考えて、気づく。「嘆く経営者」はしばらく前の自分じゃん。

以前、うちの従業員から給与の値上げ交渉をされて、慣れない私はだいぶ動揺した。その時の自分は、この経営者とまるっきり同じく、グルグルしてたと思う。

というわけで、私が、この経営者に、上から目線で「そこは課題の分離をされては」とか、とても言えない…。

人のことだと、格言とか、解釈モデルの使いどころがわかるのに、自分だとなかなかできない。