ない

夢がない。どうしても何をしたい、ということがないのでそちらに合わせます…子供の頃からそんなタイプだった。

今までで一番嬉しかったことは何?と聞かれて、何分か考えた結果「浪人のあと合格して親を喜ばせたこと」と答えた。そんなのが一番なの?と思われるだろうが、本当だから仕方ない。

この質問を聞いた人は、「今変わらないと、一生変われない」と言った。それだけでいいのか、という意味だ。聞かれたのが今から5年前で、私はその後も変わらぬ日常を送っている(体力衰えて仕事を減らしたけど)。

夢がないと、何が起こりやすいかというと、虚しさを感じやすい。とどこおりなく仕事を終えた日はホッとするのだけど、ホッとする以上の感情は生まれない。下手すると何してんだろう自分、という虚しさにすぐとっつかまる。

虚しさをオノレへの攻撃(「なんてだめなんだ自分」)に変えないためには、小さな楽しみを手放さないことだと思う。

何々のドラマを観ようとか、漫画を読もうとか、そういう小さな希望で気をそらしながら、一週ごとに人生をつなぐ。

暗い淵のそばに立たされた気分になることがあるが、そのたびに小さな楽しみを必死で探し、また淵から離れて生き延びている。

悲しいが、私はもうこれから大きく変わることはないだろう。大きな夢は持てないだろう。しかし、(手に漫画を持ちながら)それでええやんけと思う。